睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は名前のとおり睡眠中に呼吸が止まりますが、睡眠中の無呼吸により窒息死することはありません。それは無呼吸になると体の酸素が低下し、その低下により脳が覚せいし、呼吸が再開されるためです。
深い眠り→舌がのどに落ち込む→無呼吸→酸素の低下→脳の覚せい→呼吸再開→低酸素の改善→深い眠り→舌がのどに落ち込む→無呼吸・・・
これを繰り返すと脳は十分な休息をとることができません。
しかも脳は覚せいしても意識は覚せいしていないため、睡眠中に脳が覚せいしていることに気づくことができません。
そのため、昼間の仕事の能率の低下や居眠り運転、場合によっては眠気をきたします。
睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる症例
高血圧
交感神経の興奮は血圧を高めます。
実際、高血圧症の患者さまに睡眠時無呼吸を認めることが少なくありません。高血圧の方は肥満の有無に関わらず調べてみることをおすすめします。コントロールの悪い方や肥満があれば検査をおすすめします。
糖尿病
睡眠時無呼吸症候群で睡眠中に血液内の酸素が不足します。
この酸素の不足により、体のインスリンへの反応を鈍らせてしまうため、糖尿病がおきやすくなると言われています。
狭心症・心筋梗塞
睡眠時無呼吸症候群では酸欠が繰り返され、動脈にダメージを与えます。
このダメージにより動脈硬化を引きおこすと考えられます。動脈硬化は狭心症や心筋梗塞の重要な原因です。
脳卒中
高血圧や動脈硬化も重要な脳卒中の原因ですが、睡眠時の無呼吸を繰り返すことにより脳の血流の障害を引きおこし、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などを併発しやすくなります。
睡眠時の危険ないびきと安全ないびき
睡眠は人にとってとても大事な行為で、肉体的・精神的・知的な疲労からの回復に大きな役割を担っています。
この睡眠により脳も一部を残して休むのですが、睡眠中筋肉がだらりと脱力することにより、舌の付け根が緩み、喉の奥の方に落ち込みます。落ち込むことにより、喉の空気の通り道が細くなり、場合によっては落ち込んだ舌の付け根が呼吸により振動し、いびきとなります。
アルコールを摂取すると、さらに舌の筋肉が緩みやすくなり、落ち込みが激しくなります。普段いびきをかかない人でもお酒を飲んだ夜にいびきをかくのはこのためです。
しかし、この空気の通り道(気道)が細くなりすぎて塞がれてしまうと、呼吸ができなくなってしまい窒息状態となってしまいます。呼吸が止まらないいびきは健康上問題ないのですが、呼吸が止まり一時的に窒息状態を引き起こすいびきは大変危険ないびきなのです。
危険ないびきの原因
- 肥満体型になり、舌周囲の気道が細くなってしまう
- 顎が小さく、気道が細い
睡眠時無呼吸症候群の症状
自覚症状
たとえ重度の睡眠時無呼吸症候群でも自分自身で「睡眠中に呼吸が止まっている」と自覚する方はいません。
十分睡眠をとっているのに昼間眠いということが自覚症状ですが、実際には昼間の眠気すら自覚していない方が意外に多いのも事実です。
すなわち、重要な疾患にも関わらずご本人は気付かないのです。
当クリニックの検査希望者も多くは一緒に寝ている方にいびきや無呼吸を指摘されて受診されます。自覚症状はないかお考えください。
症状の程度について
1分間に10秒以上の呼吸停止を無呼吸と呼びます。無呼吸の程度により重症度が分かれ、今後の寿命に大きく影響します。
- 【軽症】1時間に5~15回の無呼吸
- 【中等症】1時間に15~30回の無呼吸
- 【重症】1時間に30回以上の無呼吸
1時間に20回以上呼吸が止まる中等症~重症の患者さまでは7・8年後に20~30%の方が死亡すると報告されていますが、きちんと治療することにより予後も改善されますのでしっかり治療しましょう。
治療法
高血圧減量
肥満による睡眠時無呼吸の方には有効な方法です。心臓に対する負担も減りますので肥満の方はぜひ挑戦してください。
横向き寝・うつ伏せ寝
横向きやうつ伏せで寝ることにより無呼吸が改善される方がいらっしゃいます。手軽に行えるので試す価値はあります。
しかし限界があり、全ての方に有効というわけではありません。
マウスピース
マウスピースにより下あごを少し前に出した状態で固定し、喉を広げる方法です。保険の適応があり、不快感も少なく良い治療ですが、うまくいかない方もいらっしゃいます。
CPAP(シーパップ)
鼻にマスクをつけ、機械により常に一定の空気を送って喉を広げる方法です。現在では最も確実性の高い治療法となり、機械の音はほとんど聞こえません。
苦しそうな治療法ですが、重症の方で、装着により熟睡が得られ、頭がすっきりし、昼間の眠気が消失します。保険の適応があり、3割負担の方で月々5,000円程度です。
